春から初夏にかけて、風に揺れるように垂れ下がる「フジ(藤)」の花。あしかがフラワーパークや亀戸天神社などは、藤の名所として有名で、4月下旬にかけて見頃になり、多くの観光客が訪れています。
その繊細な房状の花と、なめらかに曲がる枝ぶりは、いけばなの中でも動きを表現する花材として重宝されます。
基礎情報
- 和名:フジ(藤)
- 英名:Wisteria
- 学名:Wisteria floribunda
- 出回り時期:4月~5月(春〜初夏)
- 原産地:日本、中国、朝鮮半島
- 香り:あり(甘く芳醇)
- 特徴:つる性植物。花は長く垂れ下がる房状で、淡紫を中心に白やピンクも存在。枝はやや繊維質でためにくい。
特徴
線(Line):垂れ下がる花房が生み出す縦の流れ
藤の花は自然に垂れ下がるため、縦方向の流れや“重力”を表現するのに最適
色(Color):淡紫〜白の優雅なグラデーション
紫のグラデーションが美しく、白やピンクの品種も存在。涼しげで上品な印象を与え、季節感が明確。
塊(Mass):細やかな花の連なりが生む柔らかな塊感
花房は、小花が連なる構造。繊細な花が集まることでやさしいボリューム感をつくり出す。
フジ(藤)のいけかた参考例
線/塊:垂れ感を活かし縦構成を作り出す
藤の花の最大の魅力は、重力に従って下垂する花房。その特徴を活かして、花器の高い位置から自然に垂れさせ、風に揺れるような構成が効果的。
色:淡い花材と組み合わせて、透明感を醸成
藤は同系色や白・水色などと合わせることで、春から初夏の涼感ある作品に仕上がる。ガラスや金属の花器とも相性が良い。