基礎・心構えレッスン③「疎密強弱」

いけばなレッスン

疎密強弱とは

「疎密強弱(そみつきょうじゃく)」とは、いけばなにおける
空間のバランスや花材の配置の抑揚を指す基本的な概念です。
単調に花を並べるのではなく、「密に集まったところ」と「空間が抜けたところ」、「強く主張する部分」と「強さを引き立たせる部分」をつくることで、
作品にリズムや緊張感、美しさが生まれます。

いけばなは、フラワーアレンジメントよりも空間を大事にするので、疎密強弱はとても大切な考え方です。

上達のためのフォーカスポイント

① 主役を決めること

一つ目のポイントは、どの花材を主とするかを明確にすることです。
作品の中心となる花材を最初に決めて構成を考えることで、どこを強調するか、どこを引き立たせるかが決めることができます。

そして、それが決まった上で、脇役をどう配置するかを考えます。
副枝や控え枝は、主役を引き立てるように位置や角度を調整します。脇役があるからこそ主役が映えます。

主役が明確であることは、作品に緊張感とまとまりを生むための基本です。
脇役と主役の関係性を丁寧に作ることで、自然と「強弱」の構成が整っていきます。

② 空間を作ること

2つめのポイントは、空間を作ることです。
疎密強弱を出すためには、空間を使うことがとても効果的です。
花材をどこに置くかやどのように花材を整理するかによって、空間を作れるようになると、作品の自由度が高まります。

以下、空間を作る際のパターンをまとめたので、ぜひ参考にしてください。

  • 1.花材を置かない場所を決める
    あえて何も置かない空間をつくることで、密度のある部分とのコントラストが生まれ、リズムが出ます。
  • 2.枝を切る(間引く)
    不要な枝を省くことで空間が整い、線が美しく際立ちます。切る勇気も大切です。
  • 3.葉を整理する
    葉が多すぎると空間が潰れてしまうので、必要な部分だけを残し、余白を意識します。
  • 4.花材をためる(曲げる)
    曲線や動きが加わることで、空間に流れや変化が生まれます。

空間をつくることは、いけるという行為の中で「引く」判断を伴います。
余白があるからこそ、密な部分が際立ち、構成に深みが生まれます。

実際の作例

【作例1】

右側で密、左側で疎を作っています。
また紫陽花の花を主役にして、花を強調しています。

【作例2】

ここでは上が密、下が疎を作っています。
上部の密集を見せることで、下部の花材の立ち上がりが足元を見せたことも相まって、逆に強調されています。

まとめ

「疎密強弱」は、いけばなの美しさに抑揚と緊張感をもたらす基本の考え方です。
主役を決めて軸を通し、脇役で支え、空間に強弱を与える。
この積み重ねが、見る人の心に響く作品へとつながっていきます。

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